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  • 長い長い眠りから覚めて…? - 2016.01.23 [創作]
お久しぶりでございます、皆さま。
管理人の倖一夜です。生きております。ええ、すこぶる元気です。
例え仕事の休みが取れなくても、ベテランと新人の間に挟まれて頭をかかえていおても、遠いところに行きたいなんて、思っていませんよ!ええ、思っていませんとも!!
そんな状態なので、妄想がとまらないわけで、気づけば設定を考えている今日この頃です。

なので、思いつき、見切り発進、書いてればなんとかなるさの短編連作(になるこもしれない)の一話目をどうぞ!!






おじさんと私。


「おじさーん!起きてるー!?」
 爽やかな朝。肌寒くなって、葉っぱの色が変わり始める季節。ある一軒家の中ではどこにでもある朝の光景があった。
 扉を軽くノックするのはショートヘアにセーラー服姿の女子高生だ。その表情は爽やかな朝とは反対に、次第に眉間にしわがよっていく。
 先ほどよりも扉を少し強めにたたく。
「おーい!寝坊助おじさん、朝ですよー!!」
「………」
 台所からは朝ご飯のいい匂いと近所の犬の鳴き声がかすかに聞こえる。
「………」
 再度、扉をたたく。眉間によるしわ。
「………」
「………」
 反応は、ない。 
 ぴくりと眉が動く。が彼女はドアノブが微かに動いたことに気づかなかった。
「………起きろ!この万年ぐうたら独身アラフォー男!!」
「ぐふゅ」
 握った拳には硬いドアとは違うやわらかい感触。と、うめき声。
 顔をあげてみれば、もさもさ頭。
「おはよう。おじさん、ご飯出来てるよ」
「…うん。おはよう。波瑠ちゃん。朝から強烈な目覚ましだね。さすが空手部」
 にっこり笑えば返される幼げな笑顔。
 波瑠は更に笑みを深めた。
「なにか言った?おっさん」
「いえ、なんでもありません」
「なら、さっさと顔あらって来る!遅刻するよ!」
 引きつった顔で返事をした同居人に波瑠こと滝 波瑠香(たき はるか)はため息をこぼした。



 波瑠香にとっては朝は戦場だ。
 何しろ彼女の年上の同居人は朝がすこぶる弱く寝起きも悪い。最初のころ、なかなか起きてこない彼に一瞬死んでいるのかと思ったくらいだ。
「じゃあ、先に行くよ」
「うん、気をつけてね。あ、もしかしたらまたしばらく帰ってこれないからね。着替えとかよろしく」
「…わかった。前の事件?」
「ちょっと進展がありそうでね」
 のほほんとした口調で言われた言葉に波瑠香は脱力しそうになったのをぐっと押しとどめると同時にこんなのが日本の安全を守っている組織にいるのが不思議でしょうがない。
 物腰も穏やかできりとした顔つきに180cm近い身長にスタイルよし、しかも独身と来れば世の中の女性は目の色を変える。
 普段、寝坊助でのほほんとした彼しかしらない彼女としては、目の前にいる人物がやり手の刑事とは思えないし、もてるときいても現実と妄想は違うぞとひねくれた感想を抱いている。
 今のようにスーツを着ているのを見れば、カッコよくないこともないけれど。
「寂しい?」
「それはない」
「それは残念」
 くすくすと笑うのを見ると悔しいさややり場のない思いがふつふつとこみ上げてくる。
 なんというかものすごくしてやられた感がある。
「じゃあ、行ってきます」
「帰りは気をつけて、人の多いところを…」
「帰るし、一人では帰らないよ。耳にタコだし」
 いつも言われている言葉を遮ると同居人が苦笑し、一歩踏み出す。
 近づく距離。背中は玄関の扉だ。
「波瑠ちゃんは女の子だからね。気をつけないとだめだよ?」
 手が視界に映る。
 髪にさしているピン留めを引っ張られる感覚と耳に触れた手の冷たさに体がぴくりと反応した。
「ああ、ごめん。ちょっとねじれてたから。じゃあ、いってらっしゃい」
「い、行ってきます」
 顔をろくに見ず、どもりながら波瑠は家を飛び出た。
 なぜか、顔に熱がたまるのを感じながら。


 一人玄関に残された男は。
「ホント、かわいい奴だなァ」
 普段彼女の前では見せない癖のある笑みをこぼしていた。
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